科学技術

科学技術 · 06日 10月 2018
DNAシークエンシング (DNA sequencing)の図
DNAシークエンシングは、DNAを構成する塩基配列を決定する手法であり、遺伝情報を解析するための基本的手段となっている。 手順としては、まず、PCRによって目的のDNA断片を十分量確保し、"サイクルシークエンス法" を行う。 "サイクルシークエンス法" とは、DNAの構成成分であるdNTPに "ddNTP" を混ぜてPCR同様のDNA合成反応を行う方法である。 ddNTPはdNTPと同じく合成反応中にDNA断片に取り込まれるが、取り込まれた時点で合成反応はストップする。 ddNTPの4種類の各塩基 (A / T / C / G)には、それぞれ異なる蛍光色素が付けられており、末端の塩基が蛍光標識された様々な長さのDNA断片を得られる。 得られたDNA断片をシークエンサーに取り付けられた細い管に流し、その先の検出器で蛍光色素を検出する。 DNA断片の長さが短いほど速く流れ、長いほど遅く流れるため、その順序と検出した蛍光の種類から、DNAの塩基配列を決定することが可能である。
科学技術 · 06日 10月 2018
MTTアッセイの図
MTTアッセイは、"細胞の増殖能" や "細胞の生存率"、"細胞毒性" を調べるために広く用いられる手法である。 MTT〔3-(4,5-ジメチル-チアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド〕は淡黄色の基質であり、細胞内のミトコンドリアにある脱水素酵素によって還元されることで、紫色のホルマザン色素が生じる。 色素量は代謝活性のある生細胞の数と相関するため、570nmの吸光度を測定することによって "細胞の増殖能" や "細胞の生存率"、"細胞毒性" を評価することが可能である。
科学技術 · 06日 10月 2018
遺伝子導入の図
主要な遺伝子導入方法に、“トランスフェクション” による遺伝子導入方法、“エレクトロポレーション” による遺伝子導入方法、“ウイルスベクター” による遺伝子導入方法がある。 ・トランスフェクション → 陰電荷であるDNAやRNAなどの核酸は、陽電荷を持つリポソームやポリマーなどの物質に結合し複合体を形成する。 その複合体が陰電荷を帯びた細胞表面に引きつけられ、エンドサイトーシスによって細胞に取り込まれるといった原理を利用した遺伝子導入方法。 ・エレクトロポレーション → 核酸と細胞の懸濁液を陽極と陰極ではさみ、電気パルスをかける。 電気パルスによって静電的膜圧縮が起こり、細胞膜に小さな穴があく。 その穴を通して、細胞外の核酸が細胞内へ入り込むといった原理を利用した遺伝子導入方法。 ・ウイルスベクター → 細胞膜表面に、ウイルス粒子の表面タンパク質に結合する受容体がある場合、ウイルスが細胞に感染し、ウイルス粒子内の核酸が細胞内へ入り込む。 遺伝子導入のためによく用いられているウイルスベクターとして、①レトロウイルス、②レンチウイルス、
科学技術 · 06日 10月 2018
クロマチン免疫沈降 (ChIP) 法の図
クロマチン免疫沈降(ChIP)法は、細胞のクロマチン中の "タンパク質–DNA相互作用" を調べる技法である。 この技法を用いることにより、特定のゲノム領域と関係している複数のタンパク質を同定することが出来る。 また、逆に、特定のタンパク質に関係している多くのゲノム領域を同定することも出来る。 ヒストンタンパク質の他、"転写因子" や "転写補因子"、"DNA複製因子"、"DNA修復タンパク質" の結合の解析も行うことが可能。 ↓ 大まかな実験の流れ ① ホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、細胞内のタンパク質–DNA相互作用を固定・保持する。 ② Wash後、ソニケーションまたは酵素消化によりクロマチンを断片化する。 ③ 特定のタンパク質またはヒストン修飾に特異的な抗体を用いてクロマチンを免疫沈降する。 ④ 免疫沈降後、タンパク質–DNAを脱クロスリンクし、DNAを精製する。 ⑤ 精製したDNAを様々な手法で解析する。
科学技術 · 06日 10月 2018
フローサイトメトリー (flow cytometry)の図
細胞の懸濁液を細胞が一列になるように細く流し、それにレーザー光を当てて "前方散乱(Forward Scatter; FSC)" と "側方散乱 (Side Scatter; SSC)" を検出する。 FSCからは “細胞の大きさ”、SSCからは “細胞内の複雑さ (核の形、細胞内小器官、膜構造などに由来)” を分析することが可能。 これにより、細胞1個1個の相対的大きさや形状、内部構造の違い、細胞の同定や細胞群を構成する種々の細胞の存在比を短時間で解析することが出来る。 また、レーザー光によって生じた蛍光を検出する蛍光検出器が備えられている装置が多く、蛍光物質や免疫染色を用いることによって、多様な分析を行うことが出来る。 液滴となった細胞懸濁液に電荷を与えることで、性質の異なる細胞を分取することも可能である。
科学技術 · 06日 10月 2018
免疫沈降法 (Immunoprecipitation / IP) の図
抗原と抗体の親和性を利用して、溶液中から抗原を特異的に分離させる方法。 免疫沈降で分離した抗原はSDS-PAGEやウエスタンブロッティングなどの方法で解析する。
科学技術 · 06日 10月 2018
免疫染色法 (immunostaining)の図
免疫染色法は、抗体を用いることで、特定の抗原 (タンパク質) を可視化する技法。 免疫染色法には、“オートラジオグラフィー法”、“酵素抗体法”、“蛍光抗体法” の3種類の検出方法がある。 ・オートラジオグラフィー法 → 抗体を放射性同位体で標識しておき、免疫反応後にその放射線を検出する。 ・酵素抗体法 → 抗体を発色反応で用いる酵素で標識しておき、免疫反応後に標識した酵素に対する基質を反応させることで検出する。 ・蛍光抗体法 → 抗体を蛍光色素で標識しておき、免疫反応後に蛍光色素に対する励起波長の光を当てて検出する。
科学技術 · 06日 10月 2018
定量RT-PCR (quantitative reverse transcription PCR) 法の図
定量RT-PCR法は、"リアルタイムPCR" と "逆転写ポリメラーゼ連鎖反応 (reverse transcription PCR / RT-PCR)" を組み合わせた技法であり、mRNAの定量化を行うことが出来る。 これにより、細胞や組織での遺伝子発現をみることが出来る。
科学技術 · 06日 10月 2018
RT-PCR (Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction) 法の図
日本語に訳すと、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応。 RT-RCR法は、RNAを鋳型に逆転写を行うことでcDNAを生成し、この生成したcDNAに対してPCRを行う方法。
科学技術 · 06日 10月 2018
Real-time (リアルタイム) PCR法の図
リアルタイムPCR法は、定量PCRのひとつであり、PCRの増幅量をリアルタイムでモニターし解析する方法。 これにより、鋳型となるDNAの定量を行うことが出来る。 この定量は、“インターカレーション法” や “ハイブリダイゼーション法”、“LUXプライマー法” といった蛍光色素を用いた方法で行われる。 ・インターカレーション法 → SYBR Greenなどの蛍光物質が伸長反応の終わったPCR産物の2本鎖DNAに入り込み発光する。 この発光を検出する。 注意点として、PCR産物が目的遺伝子以外の反応産物を合成してしまう場合には、目的とするRNAの定量が出来ないため、他の手法を用いる必要がある。 ・ハイブリダイゼーション法 → ハイブリダイゼーション法には、① TaqManプローブ法と、② FRETプローブ法がある。 ① TaqManプローブ法 目的mRNAに特異的なオリゴヌクレオチドの5’末端が「蛍光物質」、3’末端が蛍光を消光させる物質である「クエンチャー」で修飾された “TaqManプローブ” を用いた手法である。

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