「イギリス エクセター大学の研究グループが、硫化水素を細胞内のミトコンドリアに注入することで、老化細胞を若返らせることに成功した。」という記事を発見した。
大変興味深い記事だったので、彼ら (イギリス エクセター大学の研究グループ) の元論文を読んでみた。
彼らは、Na-GYY4137などの硫化水素ドナーを用いて、老化したヒト内皮細胞のミトコンドリアに硫化水素を届けることによって、“スプライシング因子 (SRSF2, HNRNPD)” の発現を増加させた。
このスプライシング因子は、老化に伴って減少することが知られている。
実際に、ミトコンドリアへ硫化水素を届けることによって、老化マーカーである “p16” や “SA-β-gal” などの発現が低下していた。
しかし、老化細胞の特徴である “細胞周期の停止” や “テロメア長の短縮” などは回復させることが出来なかったようだ。
完全に、老化細胞を “若返らせた” とは言い切れないが、ヒトの細胞において部分的にでも老化をリバースさせたことは、かなりすごいことだと思う。
これから益々、老化研究が発展していくに違いない。
参考文献:Eva Latorre et al. Mitochondria‐targeted hydrogen sulfide attenuates endothelial senescence by selective induction of splicing factors HNRNPD and SRSF2. AGING 10, 1666-1681 (2018).