オートファジーは、細胞内の成分 (タンパク質、オルガネラ、感染細菌、グリコーゲンなど) を、アミノ酸、脂肪酸、糖などにまで分解し、"飢餓時の栄養素供給" や "細胞内品質管理" を行っている「細胞内分解経路」である。
近年、オートファジーが抗老化、寿命延長において重要な役割を担う可能性が示された。
これは、"オートファジーを欠損させると加齢関連疾患を発症したり、寿命が短縮すること" や、"加齢に伴って、オートファジーの活性が低下すること"、"寿命延長効果をもつ様々な遺伝学的方法および薬理学的方法は、オートファジーを誘導し、オートファジーを欠損させると寿命延長効果が消失すること" から、その可能性が支持されている。
具体的には、様々な生物種において寿命延長効果を示すカロリー制限も、オートファジーを誘導すると言われている。また、寿命延長効果をもたらすことが知られている "ラパマイシン (TOR阻害剤)"、"レスベラトロール (Sirt1活性化剤)"、"スペルミジン (ポリアミン)" といった代表的な薬剤もオートファジーを活性化させることで、寿命延長効果をもたらすことが分かっている。
このことから、オートファジーと老化は密接に関わっていると考えられる。
参考文献:実験医学 Vol.31, No.20 (増刊), 2013, 53-58